漫然投与の可能性のある治療薬の中止のシステマティックレビュー

高齢になるにつれ、慢性疾患を罹患していないという方はほとんどいないかと思われます。例えば、高血圧、慢性心不全、安定狭心症、心房細動、脂質異常症、糖尿病、変形性関節症、慢性閉塞性肺疾患、骨粗鬆症を罹患する仮想患者をガイドライン通りに治療しようとすると12種類の薬物治療と複雑な非薬理学的介入が必要となるという研究もあり1)Boyd CM.et.al.Clinical practice guidelines and quality of care for older patients with multiple comorbid diseases: implications for pay for performance.JAMA. 2005 Aug 10;294(6):716-24.PMID: 16091574、複数の慢性疾患を抱える『multimorbidity』の方の薬物治療をどうデザイン・最適化していくべきなのかは、考えていく必要性があるのかもしれません。

今回、漫然投与(4週以上)の薬の中止に関するシステマティックレビューがございましたので、読んでみました2)Thio SL.et.al.Effects of discontinuation of chronic medication in primary care: a systematic review of deprescribing trials.Br J Gen Pract. 2018 Oct;68(675):e663-e672.PMID: 30249607

プライマリーアウトカムは、中止の成功した患者数としており、また、症状の再発・薬を再開した患者数も調べていました。
結果としては、26件の試験が評価され、異質性が高いこともあり、メタ解析はしなかったようです。
疾患別として、心血管疾患、精神疾患、認知機能障害、その他に分けられており、全体の中止成功率は、20-100%、再発率は、1.9-80%となっており、あまり参考にはできない結果となっております。

Figure 2では、薬剤別の評価もされており、再発率など検討していない試験も多いですが、中止の成功率を見ると、心血管系の薬(スタチン、硝酸薬、降圧薬)、認知症治療薬(ガランタミン、ドネペジルなどのコリンエステラーゼ阻害薬)、タムスロシンなどは、比較的50%以上と高い傾向が見て取れます。

減薬を考える際には、一歩踏み出すこと、処方提案することなどに、薬剤師側は障壁・ハードルを感じていることの多い印象があります。
もちろん、この試験だけで判別せず、個別の元論文まで参考にしていくべきかとは思いますが、薬が多くて困っている医師・患者さんがいた際には、中止成功率が高い、中止しやすい可能性のある薬を知ったうえで、薬物治療の適正化をともに考え、提案していくことは、薬剤師側の減薬に対する心のハードルが下がる可能性もあるのかなと感じました。

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References   [ + ]

1. Boyd CM.et.al.Clinical practice guidelines and quality of care for older patients with multiple comorbid diseases: implications for pay for performance.JAMA. 2005 Aug 10;294(6):716-24.PMID: 16091574
2. Thio SL.et.al.Effects of discontinuation of chronic medication in primary care: a systematic review of deprescribing trials.Br J Gen Pract. 2018 Oct;68(675):e663-e672.PMID: 30249607

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