Age-friendly – 年齢にやさしい医療機関

Age-friendlyについて、前回学習しました。

Age-friendly – 年齢にやさしい社会

今回は、より、医療機関について、薬局、病院に関連している事項についての文献を読んでみて学習してみることにしました。

年齢にやさしい薬局

地域の高齢者、薬剤師で年齢にやさしい薬局の定義・特徴を議論した報告1)Defining and characterising age-friendly community pharmacies: a qualitative study.Int J Pharm Pract. 2019 Feb;27(1):25-33.PMID: 29693292があります。
ここでは、4つのテーマで15の基準が合意されています。

・関係性
1:健康に焦点を当てた快適な治療。薬剤師による患者の健康上の問題に対しての関心と共感。
2:患者が高齢者、若者、子供であるかにかかわらず、適切な言葉・口調を使用するような個人的な配慮。
3:患者のプライバシーの尊重と信頼に基づく配慮。
4:注意深く、患者のニーズを特定し、薬局で利用可能なリソースに従って必要な治療や援助を提供する方法の知識。
5:言語に縛られないケア(ここではスペイン語とバスク語)。言語だけに限らず、患者を理解しようとする意欲と態度。

・薬局のレイアウト
6:建築上の障壁がないような行きやすさ。建築上の障壁を取り除くことが不可能な場合は、他の方法でのファーマシューティカルケアへのアクセスの提供。
7:個人の配慮のためのスペースがあるような守秘義務への保証。
8:待合室に椅子やシートがあること。

・ファーマシューティカルサービス
9:特に初回来局時での積極的な熟練した専門的なアドバイス。
10:薬の使用における患者と介護者への教育への関与。
11:薬の安定供給への管理・情報・確保。
12:有事の際の医師との電話やメールでの連絡のようなヘルスセンターとの連携。
13:社会的支援を必要と判断された際の社会保健サービスとの連携。

・コミュニケーションサービス
14:最も適していると考えられる方法でのサービス提供の範囲内のコミュニケーション。
15:年齢に優しい薬局の取り組みに関する情報を患者に提供し、患者が自身の意見を内密に表現できるようにすること。

また高齢者が、地域薬局に何を求めているのかを調査した研究2)Pharmaceutical care of older people: what do older people want from community pharmacy?Int J Pharm Pract. 2015 Apr;23(2):121-30.PMID: 24905628もあり、ここでは、「個人的・関係的要因」と「サービス要因」の2つのテーマが出てきました。「個人的・関係的要因」では、継続的な関係性、積極的な態度と尊重、在宅訪問業務など、「サービス要因」では、薬や軽い病気についてのアドバイス、OTC販売、病院受診前の相談などが挙げられていました。

年齢にやさしい病院

年齢にやさしい病院に対する概念についてのレビュー論文3)Moving Towards the Age-friendly Hospital: A Paradigm Shift for the Hospital-based Care of the Elderly.Can Geriatr J. 2011 Dec;14(4):100-3.PMID: 23251321があり、以下のような原則を提案しています。

1:好ましい物理的環境
・年齢にやさしく、さまざまな障害(身体の移動性、持久力、視覚、聴覚、認知)をもつ患者、家族、訪問者のニーズに対応するデザインの統合と実装。
・入院中の虚弱高齢者における機能の維持と自立を促進する革新的なデザインの導入。

2:組織のすべてのレベルでの年齢による差別に対するゼロトレランス
・「年齢に優しい」というビジョンの制度的管理による戦略的な目的としての完全なる承認。
・すべての医療提供者の知識、技能、態度がこの目的を支持しており、それを達成するための訓練の機会もあること。
・このコンセプトを「年齢を意識することはよりよいケアを意味する」というスローガンにリンクするなどのようなマーケティングアプローチは、医療従事者の採用と定着を可能にするだけでなく、患者とその家族にとっても魅力的である可能性があること。

3:次のことを実施することによる、施設全体にわたる高齢者アプローチの原則を使用した包括的なサービスを開発するための統合プロセス
・高リスク患者の早期発見を支援するための救急科の老人学際的な相談チーム。
・中高リスク患者のせん妄および機能低下を予防するためのHospital Elder Life Program(HELP)などの体系化されたプログラム。
・認知症およびせん妄に関連した行動症状を呈する患者の管理のための専門ユニット。
・対象年齢(例:85歳)以上の患者のためのAcute Care for Elders(ACE)ユニット。
・整形外科手術、血管手術、心臓手術、および癌治療のサービス内での患者の老年医学者による共同管理。
・食事の準備から配達、手交、食事補助を含む包括的な栄養サポートプログラム。
・患者が自分の取り決めを思い出し、病院サービスをナビゲートし、健康ケアの議論の結果を理解し、そして彼らの選択を支持するのを助ける高齢者支援プログラム。

4:適切性に関する意思決定の支援(例、ケアおよび介入のレベル、過度対不十分)
・高度な手術や介入が検討されている高齢の入院患者および外来患者を評価するための学際的なサービス。 介入は患者中心であり、測定可能な利益をもたらすべきであること。

5:救急病院と地域社会とのつながりの促進
・適切な患者は、適切な場所、適切なタイミングで治療を受けること。
・臨床の卓越性、教育、研究の機会を可能にするために、地域のヘルスケア管轄内の既存の結びつきの促進。
・虚弱高齢者および複数の慢性疾患を有する患者(リハビリ施設、高度看護施設、その他)の亜急性および急性後ケアの革新的プログラム。

ここでは、結論として、私たちが提案する年齢に優しい病院の概念は、虚弱な高齢者のリスクベネフィット、機能、およびQOLのバランスの悪化なく、移り変わりの激しいヘルスケアシステムの病院による質の高いケアの提供の可能性を示唆していると述べています。

また、年齢にやさしい病院に関するガイドラインを調べた報告4)Senior Friendly Hospital Care: A Review of Guidelines [Internet].Ottawa (ON): Canadian Agency for Drugs and Technologies in Health; 2019 Feb. CADTH Rapid Response Reports.PMID: 31219692もあり、ここでは、オンタリオとアイルランドでの2つのガイドラインが紹介されています。ここでも、焦点の多少の違いはあれど、フレイル、認知症などのあらゆる状態の高齢患者に対応できるようにした勧告が示されております。

感想

年齢にやさしい医療機関として、主に関係性、連携、専門性、物理的環境の整備、コミュニケーション能力などが必要とされているようでした。ただ、これらの研究で募集されている方たちは、健康に興味を持っている、健康志向の方が多いという可能性があります。医療機関とそもそも接点がないような、独居老人、孤独の方に対してのアプローチ方法とは分けて考えて行く必要があるのかもしれません。
個人的には、WHO8つのドメインの1つの社会参加の促進としても、医療機関は関与していくべきなのではないかとも思っています。
地域の健康に対して、年齢が増えるにつれ、疾患数も増えていく傾向があります5)Burden of multimorbidity in relation to age, gender and immigrant status: a cross-sectional study based on administrative data.BMJ Open. 2016 Dec 21;6(12):e012812.PMID: 28003289。その中で、『健康』に対する考え方、捉え方も多様化していき、そのような兆候に対し、個別化し尊重した対応が求められてくるのかもしれません。
『健康』というあいまいな概念に対して、どこまで踏み込み、どこまで尊重するのか、EBMの4つの輪を意識し、あいまいなものに対して対応できるスキルを磨いていくことが、年齢にやさしい医療機関で働くうえで必要になってくるのかもしれません。

Follow me!

References   [ + ]

1. Defining and characterising age-friendly community pharmacies: a qualitative study.Int J Pharm Pract. 2019 Feb;27(1):25-33.PMID: 29693292
2. Pharmaceutical care of older people: what do older people want from community pharmacy?Int J Pharm Pract. 2015 Apr;23(2):121-30.PMID: 24905628
3. Moving Towards the Age-friendly Hospital: A Paradigm Shift for the Hospital-based Care of the Elderly.Can Geriatr J. 2011 Dec;14(4):100-3.PMID: 23251321
4. Senior Friendly Hospital Care: A Review of Guidelines [Internet].Ottawa (ON): Canadian Agency for Drugs and Technologies in Health; 2019 Feb. CADTH Rapid Response Reports.PMID: 31219692
5. Burden of multimorbidity in relation to age, gender and immigrant status: a cross-sectional study based on administrative data.BMJ Open. 2016 Dec 21;6(12):e012812.PMID: 28003289

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です