キサンチンオキシダーゼ阻害薬の検討

先月、フェブキソスタットについてのツイートが多く、論文抄読会をちょうどやろうとしていましたので、そこで話題になっていた論文を読んでみることにしました。また、自分なりにも他の論文にも目を通したので、記録的にまとめてみることにしました。

≪FDAからのWarning≫

2019年2月21日に以下のような知らせがFDAで結論付けられておりました。1)FDA adds Boxed Warning for increased risk of death with gout medicine Uloric (febuxostat) 2-21-2019

アロプリノールと比較して、フェブキソスタットによる死亡リスクが高い。

≪論文抄読会で読んだ論文≫

上述のFDAの結論に至った根拠論文を読んでみることにしました。

Cardiovascular Safety of Febuxostat or Allopurinol in Patients with Gout.
N Engl J Med. 2018 Mar 29;378(13):1200-1210.
PMID:29527974

【論文のPECO】

P:58-71歳の主要心血管疾患の罹患歴のある痛風と診断された患者
E:(F群)フェブキソスタット、1日1回40㎎か80㎎
C:(A群)アロプリノール、Ccr60mL/min以上の場合1日1回300㎎(600㎎まで増量可)かCcr30-60mL/minの場合1日1回200㎎(400㎎まで増量可)
O:『心血管死、致死的でない脳卒中、致死的でない心筋梗塞、緊急血行再建を伴う不安定狭心症』の複合アウトカム
試験デザイン:非劣性ランダム化比較試験

【批判的吟味】

プライマリーアウトカムは明確か:〇
真のアウトカムか:〇
ランダム化されているか:〇
盲検化されているか:〇
ITT解析されているか:FAS解析
脱落率:56.6%で中止(F群では57.3%、A群では55.9%)、45.0%で治療未完了(F群では45.0%、A群では44.9%)。
サンプルサイズ:計算されている。(656/624)

【結果】

プライマリーアウトカム
F群335、A群321、HR:95%CI(1.03: 0.87-1.23)、P値0.66
セカンダリーアウトカム
心血管死
F群134、A群100、HR:95%CI(1.34: 1.03-1.73)、P値0.03
致死的でない心筋梗塞
F群111、A群118、HR:95%CI(0.93: 0.72-1.21)、P値0.61
致死的でない脳卒中
F群71、A群70、HR:95%CI(1.01: 0.73-1.41)、P値0.94
緊急血行再建を伴う不安定狭心症
F群49、A群56、HR:95%CI(0.86: 0.59-1.26)、P値0.44
心血管死、致死的でない脳卒中・心筋梗塞の複合
F群296、A群271、HR:95%CI(1.09: 0.92-1.28)、P値0.33
全死亡
F群243、A群199、HR:95%CI(1.22: 1.01-1.47)、P値0.04

【考察】

今回FDAの根拠となっている部分は、セカンダリーアウトカムの部分であり、仮説生成的なものではあるが、死亡という軽視できないアウトカムのため、今回のような警告を出したのではないかと推測しています。
脱落率は多いですが、本文中では、脱落によりベースラインは崩れていないため、エビデンスの質は保たれているというようなことを述べています。ただ、軽視はできない部分ではあると思います、脱落が多かったのは、安全性を調べる試験だからなのか、高尿酸血症に対する治療の関心の低さなのか、興味深いところではあります。
また、今回はアロプリノールよりは、フェブキソスタットの方が死亡リスクが高い可能性があるという結果でしたが、プラセボと比べて死亡リスクが高いということではないことに注意は必要です。

≪他に読んでみた論文≫

【論文1】

尿酸値と健康アウトカムの関連2)Serum uric acid levels and multiple health outcomes: umbrella review of evidence from observational studies, randomised controlled trials, and Mendelian randomisation studies.BMJ. 2017 Jun 7;357:j2376.PMID:28592419

血清尿酸値の明確な役割の説得力のあるエビデンスは痛風および腎結石症のみの可能性。

■アンブレラレビュー

【論文2】

ACPの急性・再発性痛風のマネジメント3)Management of Acute and Recurrent Gout: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians.Ann Intern Med. 2017 Jan 3;166(1):58-68.PMID:27802508

1:ACPは、臨床医が急性痛風患者の治療にコルチコステロイド、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、またはコルヒチンを選択することを推奨する(Grade: strong recommendation, high-quality evidence)。

2:ACPは、急性痛風を治療するためにコルヒチンを使用する場合、臨床医が低用量のコルヒチンを使用することを推奨する(Grade: strong recommendation, moderate-quality evidence)。

3:ACPは、初回痛風発作後、または発作頻度がまれな患者では、ほとんどの患者で長期の尿酸低下療法を開始しないことを推奨する(Grade: strong recommendation, moderate-quality evidence)。

4:ACPは、再発性痛風発作のある患者において、再発予防を含む尿酸低下療法を開始する前に、臨床医が利益、害、費用、および個々の好みについて患者と話し合うことを推奨する(Grade: strong recommendation, moderate-quality evidence)。

■本文中には、食事(ビタミンCなど)に関することにもレビューがあり、とても勉強になります。

【論文3】

痛風患者の心血管疾患に対するキサンチンオキシダーゼ阻害剤の効果:コホート研究4)Effects of xanthine oxidase inhibitors on cardiovascular disease in patients with gout: a cohort study.Am J Med. 2015 Jun;128(6):653.e7-653.e16.PMID:25660249

痛風患者では、キサンチンオキシダーゼ阻害薬(XOI:アロプリノール、フェブキソスタット)の開始は未治療の高尿酸血症の患者と比較して心血管リスクの増加または減少と関連づけれなかった。

・心筋梗塞、冠状動脈血行再建術、脳卒中、および心不全を含む複合非致死的心血管アウトカム
複合CVDのPSマッチングハザード比は、未治療の高尿酸血症の方と比較してXOI開始者では1.16(95% CI, 0.99-1.34)であった。

■傾向スコアマッチングで交絡の調整がされている。

【論文4】

アロプリノールとCKDおよび心血管イベントの進行:2年間の事後分析5)Allopurinol and progression of CKD and cardiovascular events: long-term follow-up of a randomized clinical trial.Am J Kidney Dis. 2015 Apr;65(4):543-9. PMID: 25595565

・腎臓イベント(透析療法の開始、血清クレアチニンの倍増、推定糸球体濾過率:eGERの50%以上の減少)
HR, 0.32; 95% CI, 0.15-0.69; P=0.004

・心血管イベント(心筋梗塞、冠状血管再生、狭心症、うっ血性心不全、脳血管疾患、末梢血管疾患)
HR, 0.43; 95% CI, 0.21-0.88; P=0.02

■抄録のみ、サンプルサイズが小さく、盲検化もされていない。ソフトエンドポイントも含まれているため、解釈には注意が必要かもしれない。

【論文5】

アロプリノールの使用と過敏症反応のリスク6)Allopurinol Use and Risk of Fatal Hypersensitivity Reactions: A Nationwide Population-Based Study in Taiwan.JAMA Intern Med. 2015 Sep;175(9):1550-7.PMID:26193384

アロプリノール過敏症の年間発生率は試験期間中、統計的に有意に上昇。

アロプリノール過敏症の危険因子として、女性の性別、60歳以上、初期アロプリノール投与量が100 mgを超える、腎臓または心血管の合併症、無症候性高尿酸血症の治療への使用、が提示されています。

【論文6】

痛風患者における服薬アドヒアランス7)Medication adherence among patients with gout: A systematic review and meta-analysis.Semin Arthritis Rheum. 2018 Apr;47(5):689-702.PMID:29198878

痛風患者における尿酸低下療法の服薬アドヒアランスは不良。

■抄録のみ、薬剤なども不明のため、あまり参考にはならないかも。

≪感想≫

今回これ以外にもいくつか頑張って論文を読んでみました。
尿酸低下療法には、痛風や腎結石症は予防できるかもしれませんが、心血管イベントや腎イベントに関しては、あまり期待はできないかもしれません。
フェブキソスタットに関しては、アロプリノールよりは心血管リスクがあるかもしれませんが、無治療よりはリスクは上げないかもしれません。
ただ、痛風患者のアドヒアランスは、低い可能性もあり、ACPのガイドラインでも『利益、害、費用、および個々の好みについて患者と話し合うことを推奨する』とされています。
ポリファーマシーの人が、減薬を希望している場合は、減薬の候補にキサンチンオキシダーゼ阻害薬を考慮に入れてもいいかもしれません。
また論文抄読会では、薬をどうこうする前に、生活習慣をどうにかできたらいいのではという意見もあり、それこそ個々の好みに耳を傾けていく必要があるのではと感じました。
以上になります。箇条書きで見づらいかもしれませんが、記録的な意味もありますので、あしからず。

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References   [ + ]

1. FDA adds Boxed Warning for increased risk of death with gout medicine Uloric (febuxostat) 2-21-2019
2. Serum uric acid levels and multiple health outcomes: umbrella review of evidence from observational studies, randomised controlled trials, and Mendelian randomisation studies.BMJ. 2017 Jun 7;357:j2376.PMID:28592419
3. Management of Acute and Recurrent Gout: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians.Ann Intern Med. 2017 Jan 3;166(1):58-68.PMID:27802508
4. Effects of xanthine oxidase inhibitors on cardiovascular disease in patients with gout: a cohort study.Am J Med. 2015 Jun;128(6):653.e7-653.e16.PMID:25660249
5. Allopurinol and progression of CKD and cardiovascular events: long-term follow-up of a randomized clinical trial.Am J Kidney Dis. 2015 Apr;65(4):543-9. PMID: 25595565
6. Allopurinol Use and Risk of Fatal Hypersensitivity Reactions: A Nationwide Population-Based Study in Taiwan.JAMA Intern Med. 2015 Sep;175(9):1550-7.PMID:26193384
7. Medication adherence among patients with gout: A systematic review and meta-analysis.Semin Arthritis Rheum. 2018 Apr;47(5):689-702.PMID:29198878

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