インフルエンザでも休みやすい社会へ

今回、インフルエンザも流行っていることから、論文抄読会で、ゾフルーザに関する論文を読んでみました。

Baloxavir Marboxil for Uncomplicated Influenza in Adults and Adolescents.
N Engl J Med. 2018 Sep 6;379(10):913-923.
PMID:30184455

≪論文のPICO≫

P:48時間以内に、発熱(38度以上)、少なくとも1つの全身症状、少なくとも1つの中程度の呼吸器症状を呈している人
除外基準:妊婦、40㎏未満、入院につながる疾患を持っている人
I :体重に応じたバロキサビル投与
C:オセルタミビル投与 / プラセボ投与
O:一次アウトカムは、症状緩和までの時間(7つの評価項目で判断)
評価項目:咳、喉、頭痛、鼻づまり、発熱・悪寒、筋肉・関節の痛み、倦怠感
二次アウトカムは、発熱消失までの時間、抗生剤使用、ウイルス検出、感受性の低下、安全性など

≪批判的吟味≫

アウトカムは、真のアウトカムと考えます。
盲検化はされているとのことですが、1日1回1日投与の製剤と1日2回5日間投与の製剤を、どう盲検化したのかは読み取れませんでした。
ITT解析はされていないようです。
脱落率は、5%前後でしたので、影響は少ないと考えます。
アセトアミノフェンの追加が承認されていますので、発熱に関する結果には注意してみる必要があると考えました。
患者背景は、日本人が約70%、ワクチン接種率は約25%でした。

≪結果≫

一次アウトカム:症状緩和までの時間
バロキサビル群 53.7 hours、プラセボ群 80.2 hours(P<0.001)
オセルタミビル群ともほぼ同等の効果を示していた。

二次アウトカムとして抜粋
ウイルス検出量は、開始1日目で、バロキサビル群が、他に比べて優位な現象を示したとしています。

≪感想≫

バロキサビルは新機序の薬ではありますが、一般的な成人に関してはオセルタミビルと同等の効果は示せているようです。
自分なりに、バロキサビルの適応を考えたのですが、アドヒアランスかオセルタミビルの耐性ウイルスが蔓延した場合ではないかと思っています。
認知症独居の方など、明らかにアドヒアランスが期待できない方にはとてもいい薬ではないかと思います。
あとは、薬剤師側の服薬指導時の手軽さは否定できませんね。
今回の試験では、ハイリスクの患者は除外されていることから、ハイリスク群でも効果を示せているオセルタミビル※1の方をまずは考えるべきではないかなと思います。ジェネリックもあるのでコスト面でも。
そもそも、個人的には高齢・呼吸器疾患を有しているなどのハイリスク群ではない方は、抗ウイルス薬を飲まない選択肢もあると考えています。
インフルエンザの診断がないと、会社や保育園の関係で困るという社会ですので、受診は免れないのかもしれませんが、そのような社会がインフルエンザ流行の一つの要因にもつながると考えています。
インフルエンザの可能性がある場合、休みやすい社会を作り上げていくことが、過度な受診や薬物治療の軽減に貢献していくのではないかと思っています。

≪参照文献≫
※1:A multicentre, randomized, controlled trial of oseltamivir in the treatment of influenza in a high-risk Chinese population. Curr Med Res Opin. 2006 Jan;22(1):75-82. PMID:16393433

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