緩和ケアでのせん妄に対するリスペリドン、ハロペリドールの効能の検討

Efficacy of Oral Risperidone, Haloperidol, or Placebo for Symptoms of Delirium Among Patients in Palliative Care: A Randomized Clinical Trial.
JAMA Intern Med. 2017 Jan 1;177(1):34-42.
PMID: 27918778

《論文のPICO》

P:回復の見込めない疾患で入院しているせん妄患者
参加基準(3つを満たす場合):
1、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersで診断されたせん妄
2、Memorial Delirium Assessment Scale (MDAS)スコア7以上
3、the Nursing Delirium Screening Scale [NuDESC]で1以上(不適切な行動・会話、幻想・幻覚)
I :リスペリドン、ハロペリドール(液剤)
初回0.5mgから開始し、0.5mgを12時間毎に72時間まで投与。
その後増量は1日目は、0.25mg、その後0.5mgずつで最大4mg/日まで増量可。
65歳以上の高齢者では、用量は半分。
C:プラセボ(同等量の液剤)
O:プライマリアウトカムはNuDESCスコア
セカンダリーアウトカムはMDASスコア、ミダゾラムの使用、錐体外路症状、生存期間、鎮静評価

《論文の批判的吟味》

11の緩和ケア病棟が参加しているランダム化比較試験です。
患者と調査者がマスキングされています。
封筒法を用いて隠ぺい化されています。
プラセボに至っても、味やにおいなども考慮された設計になっているようです。
NuDESC、MDASスコアに応じて、薬物量は増減されています。
必要に応じて、拮抗剤の使用、非薬物療法、ミダゾラムが使用されています。
ITT解析されており、追跡率は99%です。

《結果》

プライマリアウトカム:NuDESCスコア
リスペリドン :0.48 (95% CI, 0.09-0.86; P = .02)
ハロペリドール:0.24 (95% CI, 0.06-0.42; P = .009)

セカンダリーアウトカム
・MDASスコア
リスペリドン :0.96 (95% CI, 0.16-1.77; P < .001)
ハロペリドール:0.75 (95% CI, −0.03 to 1.51; P = .06)
・錐体外路症状
リスペリドン :0.73 (95% CI, 0.09-1.37; P = .03)
ハロペリドール:0.79 (95% CI, 0.17-1.41; P = .01)
・鎮静評価
リスペリドン :–0.05 (95% CI, −0.19 to 0.09; P = .52)
ハロペリドール:–0.14 (95% CI, −0.28 to −0.00; P = .048)
・生存期間(死亡率)
リスペリドン :HR, 1.29 (95% CI, 0.91-1.84; P = .14)
ハロペリドール:HR, 1.73 (95% CI, 1.20-2.50; P = .003)

《感想》

せん妄に対して、ハロペリドール、リスペリドンを使用することは、あまり効果を見いだせず、死亡を増やす可能性があることも示唆された結果となっています。
結論としては、非薬物療法が推奨されており、脱水への注意、感覚へのサポート、家族への介入など、せん妄症状の原因となるものへのケアが求められています。
今回、薬の投与期間は3日間と比較的短期間ではあります。
また、これは病院での比較的ケアが行き届きやすい環境下での試験ではありますので、老人ホームなどの介護施設、在宅での環境下で、そのまま同じ解釈にすることは注意が必要かと思います。
ただ、在宅などでも、安易に薬物治療に走るのではなく、せん妄の原因となりうるものがきちんと考慮されているか、家族の負担面など多面的に考えたうえでどのような試みをしていくべきかを考える必要があるのではと思いました。
今回の情報を踏まえたうえで、今後も患者さんと向き合っていければと思います。

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