パンフレットを用いたベンゾジアゼピン系薬の中止

前回の論文で、医師による教育的介入と書面による教育的介入がほとんど一緒だったため、書面によるものでもっと具体的なものがありましたので、そちらも読んでみることにしました。
この論文では、実際に使用している小冊子もみることができ、とても参考になります。

Reduction of inappropriate benzodiazepine prescriptions among older adults through direct patient education: the EMPOWER cluster randomized trial.
PMID: 24733354

 《論文のPICO》

P:ベンゾジアゼピン系薬を3ヶ月以上継続して、5剤以上の多剤併用状態である65-95歳
I :教育介入群
C:コントロール群
O:6ヶ月後のベンゾジアゼピン系薬の中止率
試験デザイン:クラスターランダム化比較試験
*除外基準は、認知症、重度の精神疾患罹患者

《批判的吟味》

今回使用されている教育用冊子は、患者のエンパワーメントのために社会構成主義学習と自己効力理論に基づくもので構成されているそうです。
アウトカムの測定は、中止は、3ヶ月以上の処方がないこと、用量減少は、25%以上の減少としています。
ランダム割り付けは、コンピューターを用いて行われており、介入者、参加者ともに直前までわからない状態であったとしています。
ITT解析、per protocol解析、両方で解析を行ったとしています。
盲検化として、参加者、薬剤師、医師、評価者全て盲検化しているとの記述がありましたが、実際、どのようにしているのかは読み取れませんでした。クラスターなので、完全に分けてなどなのでしょうか。
脱落率は、14%くらいで、少し多い気もしましたが、減薬に関する取り組みのため、これでも少ない方ではないのかなと考えました。
ただ結果に与える影響には注意が必要だと思います。

《結果》

ベンゾジアゼピン系薬の中止
Adjusted OR(95% CI):8.33(3.32-20.93)
NNT:4.35

ベンゾジアゼピン系薬の中止・減量
Adjusted OR(95% CI):5.49(2.78-10.84)
NNT:3.70

《個人的見解》

NNTだけを見ると、情報提供などのフォローをするだけで、4、5人に1人は、ベンゾジアゼピン系薬を減薬できるという素晴らしい取り組みのように思えます。
しかし、脱落率は、14%であり、脱落している人は、基本的には、減薬には乗り気でない人が多いのではと考えられます。
また、ランダム割り付けされる前に2000人近く除外されており、これは、除外基準だけではなく、「興味を示さなかった」などの人も含まれているため、ターゲットは、きちんと選ばないとこれほどの効果は見込めないかもしれません。
ある程度、ベンゾジアゼピン系薬に対して、関心がある、やめなければいけないと心の片隅で思っている人が、薬剤師などのフォローにより、後押ししてもらえた結果なのかなと感じました。
自身の薬局でも、この論文を参考に行動を起こしてみていますが、簡単ではなさそうです。
全員がやめるべきとは思いませんが、リスクも知らずに漫然と飲み続けている方が多いのではないかというのが、自身の印象であり、何か対策はしなければいけないと思います。
今回の論文は、薬剤師として何をすべきなのかを、考えるときにとても参考、励みになる論文なのではと思います。

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