慢性疾患によるアドヒアランスの違い

既往歴の有無で、アドヒアランスに違いが生じるかもしれないという論文を前回読みましたが、アドヒアランスに違いが生じるものは他にもあるのか、もう少し論文を読んでみることにしました。

Comparison of Drug Adherence Rates Among Patients with Seven Different Medical Conditions
PMID: 18363527

《論文のPECO》

P:18歳以上の706032人
E/C:7つの疾患を比較(痛風、脂質異常症、高血圧、甲状腺機能低下症、骨粗鬆症、発作性障害、2型糖尿病)
O:アドヒアランスの評価

《批判的吟味》

疾患ごとの薬物治療は、以下の薬剤と定義しています。
2型糖尿病:α-グルコシダーゼ阻害薬、SU薬、チアゾリジン系薬、メグリチニド、ビグアナイド系薬
高血圧:βブロッカー、ACE阻害薬、ARB、Ca拮抗薬、利尿薬
脂質異常症:スタチン
骨粗鬆症:ビスホスホネート
発作性障害:ヒダントイン系薬、カルバマゼピン、ラモトリギン、バルビツール酸系薬、トピラマート、バルプロ酸、スルホンアミド系薬
甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモン製剤
痛風:アロプリノール、尿酸排泄薬

アドヒアランスの測定には、the medication possession ratio (MPR)を使用。
これは、調剤された日数を、実際の追跡日数で割った値です。
MPRが100%を超える場合は、100%にしたとしており、それが過剰服用なのか、早期受診なのかの区別はわからないとしています。
100%を超える割合は、痛風患者で12%、発作性障害で27%くらいだったとしています。

《結果》

MPR80%以上の値を示しています。
高血圧:72.3%
脂質異常症:54.6%
2型糖尿病:65.4%
骨粗鬆症:51.2%
甲状腺機能低下症:68.4%
痛風:36.8%
発作性障害:60.8%

《個人的見解》

慢性疾患を主にした研究であり、痛風と書いていますが、高尿酸血症と解釈してもいいのかなと思っています。
発作性障害に関しては、MPRは高めですが、100%を超える割合も多めでしたので、飲み過ぎによる人の割合を統合していることにより、MPRが高めに出ている可能性もあるのかなと感じました。
比較的、高血圧、2型糖尿病、甲状腺機能低下症がMPR高めですが、高血圧、2型糖尿病は、家庭でも測定できるため、自身で検査値を管理することにより、アドヒアランス良好に繋がっている可能性が考えられるかと思います。
今回は、疾患ごとで調査されていますが、複数疾患を罹患している人と、単一疾患を罹患している人でのアドヒアランスの違いも気になりましたが、この論文からは僕は読み取れませんでした。
前回は、一次予防と二次予防での違い、その前は、良好な薬物療法と有害な薬物療法の違いで、アドヒアランス・アウトカムに変化が生じていました。
今回の論文からも、アドヒアランスについては、様々な切り口で考えていく必要があるのではないかと考えます。
「お薬きちんと飲んでいますか?」、「お薬余っているものはありますか?」このような薬剤師として、日常よく聞くセリフ、その返答をよく考え、吟味することで、その人がなぜ飲めていないのかの本質が見えてくるのではないでしょうか?
そして、そこに、薬剤師の可能性は多分にあるのではないかと思います。
生活習慣と薬剤の服用タイミングがずれているのか、薬に関心がないのか、漫然とした治療を是正するタイミングなのか、アドヒアランスの改善を切り口に様々なアプローチができるのではないかと思います。
「お薬きちんと飲めていますか?」をルーチン化せず、きちんと『薬剤師』できるように精進したいと思います。

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