既往歴の有無によるアドヒアランスの違い

前回は、薬によって、アドヒアランスが良好でも、死亡率の結果に違いが出るという論文でした。他にも、何か違いが出るものはあるのか、他のアドヒアランスに関する論文を読んでみることにしました。

Adherence to drugs that prevent cardiovascular disease: meta-analysis on 376,162 patients
PMID: 22748400

《論文のPECO》

P:20の研究の376162人
E/C:冠動脈心疾患の既往歴の有無による一次予防/二次予防
O:アドヒアランスの評価
試験デザイン:メタ解析
*7つのクラスの薬剤も比較
アスピリン、ACE阻害薬、ARB、βブロッカー、Ca拮抗薬、チアジド系利尿薬、スタチン

《批判的吟味》

論文は、PubMedで検索、検索日は不明。
検索語は、[adherence, persistence, compliance, or concordance] and [drug treatment, aspirin, angiotensin-converting enzyme inhibitors, angiotensin receptor blockers, beta-blockers, calcium channel blockers, thiazide diuretics, or statin]としています。
文献検索後、論文の選定は2人の研究者が独立して行ったとしています。
出版バイアスについては、記述があまり見つけられませんでした。
Funnel Plotも見当たりませんでした。
元論文の評価についても記載は特に見つけられませんでした。
異質性はあるとしていますが、定量的に研究を評価できなかったため、よくわからないとしています。
処方箋に基づいた服薬に関する研究に限定したとしていますが、それにより、処方されてはいるけど、きちんと飲んでいるかはわからないため、結果が過大評価されている可能性を示しています。

《結果》

全体のアドヒアランス:57% (95% CI、 50-64)
一次予防のアドヒアランス:50% (95% CI、 45-56)
二次予防のアドヒアランス:66% (95% CI、 56-75)

各薬剤の比較
アスピリン:一次予防(なし)、二次予防(65、53-77)
ACE阻害薬:一次予防(56、49-64)、二次予防(70、66-75)
ARB:一次予防(61、51-70)、二次予防(なし)
βブロッカー:一次予防(44、38-51)、二次予防(62、49-76)
Ca拮抗薬:一次予防(48、38-58)、二次予防(76、69-82)
チアジド系利尿薬:一次予防(42、34-50)、二次予防(なし)
スタチン:一次予防(57、51-64)、二次予防(76、70-82)

《個人的感想》

この論文の質は、決して高くないものではないかもしれませんが、アドヒアランスの評価をデータ上で行うこと自体が難しい中でのチャレンジングな研究とも取れます。
自身でやるとしても、うまい方法はあまり思いつきません。
そのため、この結果の数値自体にどれほどの信頼性があるかは別としても、ある程度の飲み忘れ、残薬が出ている状況は、現実の実感としても、これくらいの数値はあるのかもしれません。
この研究では、一次予防では、半分の人がきちんと飲めておらず、二次予防の人は、約1/3の人がきちんと飲めていないとしています。
二次予防のように、一度辛い思いをしている人の方が、より服薬ができているという状況はとても勉強になります。
一次予防の人には、合併症の怖さなどの患者教育、二次予防の人には、再発の可能性などを継続して教育していくことで、アドヒアランスを良好に保てる可能性があるかもしれません。
薬剤ごとには、大きな差はないように見えますが、βブロッカーやアスピリン、利尿剤などは、少しアドヒアランスが不良の傾向があるようにも見えます。これは、薬物有害事象の関連などもあるかもしれません。
以前の論文で、アドヒアランスが良好の方が、死亡率が減る可能性があるが、有害な治療ではアドヒアランスが良好でも死亡率は上がる可能性が示唆されていました。
アドヒアランスが、不良でもただアドヒアランスをよくしようとするのではなく、本当にその薬は飲む必要があるものなのか?、薬物有害事象が潜在化しており、アドヒアランス不良に繋がっているのではないか?、など薬剤師として考え、向き合っていく必要があるのではないかと思います。

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