なぜ薬をきちんと飲む必要があるのか

今度、社内の仲間とアドヒアランスについて語り合おうと思っているため、アドヒアランスに関する論文を読んでみようと思いました。
アドヒアランスとは、〝患者が服薬意義を十分理解し、自身の意思で治療に参加すること〟だと考えています。
そこには、漫然とした服用、残薬の問題、ポリファーマシーなど様々な問題が絡んでいると思われます。
少しでもそういった問題に対応できるようになるためにも、「なぜ薬をきちんと飲む必要があるのか?」を、今一度考えてみるため、以下の論文を読んでみることにしました。

A meta-analysis of the association between adherence to drug therapy and mortality
PMID: 16790458

《論文のPECO》

P:21研究、46847人の参加者
E:アドヒアランスがいい人と
C:アドヒアランスが悪い人を比較すると
O:死亡率は?

《批判的吟味》

評価対象研究は、RCT、RCTを用いた後ろ向き研究、観察研究であり、観察研究やRCTの結果をどう統合しているのかは僕にはわかりませんでしたが、RCTも含めているようです。

2005年6月20日に検索、いくつかのデータベースを調査。
〝Allied and Complementary Medicine (AMED), Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature (CINAHL), Embase, Educational Research Information Center (ERIC), HealthSTAR, Medline, PsycINFO, and the Web of Science.〟
参照文献、レビュー文献も調べたとしています。
〝editorials, conference proceedings, letters, news articles, government reports, and practice guidelines〟は除外したとしています。

2人の評価者が独立して、アブストラクトとタイトルから、文献を評価し、評価が割れた文献は、再度評価し、それでも不一致の場合は、第三者を交えて多数決で決めたとしています。
死亡率の計算などで納得できない場合は、著者に連絡をすることもあったとしています。
選択文献の症例としては、心筋梗塞、HIV、2型糖尿病、脂質異常症、不整脈などがありました。

《結果》

アドヒアランスがいい場合の死亡率
プラセボ:オッズ比0.56(95%CI 0.43-0.74)
有益な薬物治療:オッズ比0.55(95%CI 0.49-0.62)
有害な薬物治療:オッズ比2.90(95%CI 1.04-8.11)

《個人的感想》

この研究から、アドヒアランスがよくなることは、死亡のリスクが減る可能性があるが、リスクの高いような薬の場合は、アドヒアランスが良いと死亡率が逆に上がってしまう可能性が示唆されています。
しかし、対象患者の疾患、薬剤など背景の違いが多く、研究デザインもいくつか混じっているため、この研究の批判的吟味は僕にはレベルが高かったですが、サブグループ解析では、観察研究だけなどでも結果が出ているため、アドヒアランスを良好にすること自体は、良いことなのではないかと考えます。
ただ、きちんと飲めている薬、飲めていない薬がある場合には、どれをきちんと飲むべきなのかをきちんと考え、薬剤師として、アドヒアランスが高まるような処方の再設計を提案できるようになるべきだと思います。

 

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